第20章 されど空の青さを知る
ある日の部活中、サーブレシーブを終えた私はドリンクボトルをカゴに回収して歩いていた。
『…っはぁ、はぁ………ふぅー…』
流れる汗をタオルで拭い、必死に呼吸を整える。
「…美里ちゃん、少し休んだほうが」
『いえ…っ大丈夫です!私、みなさんのドリンクが無くなりそうなので、入れてきますね』
「これ私が代わるから、休んでて?」
『潔子先輩、私がコートにいる間…ずっとひとりでやってくださってるじゃないですか、ビブスの仕分けも、球拾いも、モッパーも…!だから、私にやらせてください』
「美里ちゃん…」
『っ、あはは…そんな顔しないでくださいよ〜!潔子先輩優しいなぁ…じゃあ水道に行ってきますね!』
心配そうな顔をする潔子先輩に、元気元気!とドリンクカゴで筋トレする仕草を見せて私は水道へ走った。
蛇口を捻り勢いよく流れ出る水を掬って顔を洗う。
『………っ…』
最近の潔子先輩、これまで以上に私のことを気にかけてくれてるんだよな…それがありがたくて嬉しくて、とても申し訳ない。
あの日武田先生からお話をいただいて、私がみんなの練習に参加すると決意した時、そちらにばかり気をやってマネージャーの仕事を疎かにすることがないよう一層頑張らねばと心に決めていた。
私が大丈夫だとアピールすればするほどに、心配そうな顔をさせてしまう。
『………はあ』
「溜息なんてついて、何かあったのか?」
振り返ると、そこにいたのは澤村先輩だった。