第19章 能ある烏は翼を隠す
影山 side
イイ感じ、
ボールが手に当たった瞬間はそう思った。
けど、着地して美里を見た時
「!」
──拾われる、
そう、直感でわかった。
まるで、西谷さんと対峙しているかのような焦燥感。
ドッ…
ふわりと高く上がるボール、
俺のサーブの勢いは完全に死んだ。
「…………」
一与さん、
やっぱり美里ってすげえ。
こいつといると、バレーのこと
──もっと好きになる。
俺は走ってネットをくぐった。
そして、高く上がったレシーブの真下に入る。
トスの構えで美里を見ると、
『!』
目をまん丸にさせて驚いていた。
「…こい!」
『…ッハハ!』
弾けるように笑った美里は俺のトスに合わせて飛び上がった。