第19章 能ある烏は翼を隠す
「道宮?どうしたんだ」
「ってか…女バレ全員いない?」
菅原先輩の言う通り、そこには女子バレー部の人たちが全員揃っていた。
『ヒッ…』
「お、おい鈴木?」
私は咄嗟に近くにいた旭先輩の後ろに隠れた。
「男バレ、練習の途中だったよねごめんっ!でもどうしても話したいことがあって…」
「話したいこと…女バレ全員でか?」
「あの…鈴木さん、いるかな」
…わ、私!?
「…鈴木、ほら呼んでるから」
旭先輩は背中に隠れていた私の肩に触れて前に押した。
『わっ……は、はい』
「ほら、杵島」
「………」
『………』
「あの…今日はすみませんでした」
『え』
「今日の球技大会…クラスのサポートよりも自分のことを優先して、しかもスパイクまでぶつけちゃって…」
『…スパイクをぶつけたのは私の方なんですけど、謝る相手を間違えていませんか?』
「!…っ…4組のあの子には明日ちゃんと謝る」
『…そう。私の方こそ、売られた喧嘩を買うなんて幼稚なことをしてすみませんでした』
「……え、」
私が頭を下げて謝ると、女バレの先輩たちが慌てた様子でこう言った。
「鈴木さんは謝らないで!」
「今日のことは杵島にとっても良い薬になったと思うから」
「そうだよ」
「なぁ、道宮たちの話したいことって謝罪?それならその子だけ連れてきたら良かったんじゃ…」
「実はもうひとつ、鈴木さんにお願いがあって…」
『お願い、ですか?』
「鈴木さん、女バレに入ってもらえませんか?」
『…女バ』
「「「えっ!?」」」