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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第17章 IH予選 2日目


影山 side


「声出せ声出せ!このコート青葉城西しかいないみたいだぞー!」

「「オアース!!」」


青城は選手層が厚い。だから必然的にレギュラー入り出来なかったヤツらは全員スタンド席だ。北一の時もそうだった。1年の頃にスタンド席から見た及川さんの姿は忘れることはないだろう。


それにしてもこの応援の数…、
周りはこの空気感に飲まれちまってねえか?


「…………」


公式ウォームアップももう間もなくで終了だ。


平常心、いつも通り、そう意識すればするほどもう既にいつも通りではない。



「おい!日向、なに敵のスタンド席見てんだよ!」

「だ、だって仕方ねえだろ!羨ましいじゃん!」



キャー!及川さ〜ん!
及川せんぱ〜い!
キャー!カッコイイ〜!!!




「クッソ!ワーキャー羨ましいッ!」

「ほんとだぜっ!!」

「俺たちにもああいうファンつかないかな!?」

「つくわけねーだろ、日向ボゲ!いいからさっさと…」





『ギャーッ!烏野の方がガッゴイイー!!』




突然体育館中に響いた声に全員が目を向けると、そこには何故か涙目で息切れをした美里がいた。



「今の鈴木…?」

「あいつ及川ファンに張り合ったのかな?」

「全然キャーって声じゃなかったけど」

「ね!ギャーだってウケる!」

「ブハッ!あいつほんっと最高だぜ!」

「やる気漲ってきたァア!」


「………」



きったねぇ声で叫んだあいつは、間違いなく烏野をいつも通りの空気感に戻した。たった一言叫んだだけで。



「鈴木さーん!俺かっこいいー!?」

『日向くーん、かっこいいよー!!』

「ひょわあっ…!」

「なはは!お前、自分で聞いたくせに!」






ふと足元に青城のボールが転がってきた。その先を見ると駆け寄ってきた及川さんと目が合う。


「いいな〜アレ」


「…そっちにはいくらだっているじゃないですか」

「ううん、ピッピちゃんがいい」

「変な呼び方しないでください」

「えー……じゃあ、美里?」

「………」



俺はくるりと身を翻してアップに戻った。
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