第16章 IH予選 初日
突然近くの階段からバタバタと走る複数の音が聞こえ振り返る。
「良かった、男子の2回戦まだやってる!」
「すごい伊達工に勝ってる…!」
女子の集団…!?
「あっ、こんにちは!」
1番に走り込んできたショートカットの人が私に気付いて挨拶をしてくれた。
『こんにちは!……あ、』
私は動いた点数に急いでスコアをつける。
「…もしかして “1年の鈴木さん” ?」
『えっ』
「やっぱり!そうだよね!?」
『あ…はい、鈴木ですが』
「わあ〜すごい、本物だ!」
『…本物?』
「結、その絡み方はさすがに雑すぎて可哀想…鈴木さんごめんね」
「私たち烏野の女バレなんだ」
『あぁ、女バレのみなさんでしたか!』
「ご、ごめん!鈴木さん有名人だから、こんなに近くで本物見るのはじめてだなって!」
「マネージャーになったって噂、本当だったんだね」
『ははっ…まだ間もないのですが』
噂…他の学年にもされていたのか。こういうのにどう返すのが正解なのかよく分からないな。
すると、また新たな女子の集団が階段から降りてきた。同じジャージだし、女バレの人たちで間違いなさそうだ。