第14章 “ネコ” と “カラス” の対峙
黒尾 side
「大丈夫か?」
「はい、固定してもらいました」
「見せてみな」
「………」
「……行きなさい。無理だけはするなよ」
「はい」
コートに戻ると、ネットを掴んで烏野のヤツらが身を乗り出してきた。いつもやってもらってるくせに、何をそんなに驚いた顔して見てんだ?…特にセッターの9番くんのキラキラとした目力がすごい。俺の指がそんなに珍しいのかね。
「オタクのマネ、随分とハイクオリティじゃない?羨ましくてハゲそうなんですけど」
俺はそう言いながら右手をヒラヒラとさせる。
「…鈴木がやったんだよな、それ」
「ん、見てたっしょ?なんで?」
「いや…あいつテーピング巻けたんだなって」
「……え?ご存知ない?」
「初めて見た、よな?」
「……ああ」
「えっ…テーピング使い込んでる感じだったけど…あと、スコアもすげえまとまってたし」
「スコア!?…いつの間に覚えたんだ!?」
「審判の時もそうだったし…」
「すげえ!鈴木さんすげえ!」
「……そのスコア早く見てえ」
「…やっぱり鈴木って人間じゃないのかも」
「どゆこと?」
「あいつ、入部して間もないし…運動部自体初めてって話だったんだよ」
「「は?」」
俺と夜久の声がハモる。
「だから俺たち、テーピングもスコアも新情報」
えっと……あの子、一体何者なの?