第9章 “特殊”な私たち
『あれ、2人とも廊下で何してたの?』
「あ、鈴木おかえり〜!教室が賑やかだから廊下で話してたんだ」
『そうなの?』
「………」
すると、ツッキーが私に1歩近づいたかと思うと突然頭に手を伸ばしてきた。それに驚いて私は反射的に避ける。
『っ…な、なに!?頭なんかついてた!?』
「…………」
『ツッキー?』
「…べつに、頭ちっちゃいから握り潰せるかと思って」
『ぶ、物騒なこといわないでよ…びっくりした!』
「あはは!あれ、鈴木飲み物買ってきたの?」
『うん、最近暑いから喉乾いてさ』
「ぐんぐんヨーグル持ってるの初めて見たかも、いつもアップルティーじゃない?」
『せっかく種類がいっぱいあるのに、同じのばっかだと勿体なくない?』
「……今日のは自分で選んでないんじゃないの?」
随分鋭いツッキーの言動に内心驚く。
『おかしなことを言うねツッキーは。自分で選んだに決まってるじゃんか』
「…ふーん」
『あー、おなかすいた!お弁当食べてくる』
私が教室に入ると、みんなの目がこちらに向いて無音になった。ただそれも一瞬で、またいつも通りの喧騒に戻る。私、嫌われてるのかな…そう不安に思っていると、
「…ほんとだ!鈴木はうちのクラスの守り神だね」
いつの間にか私の背後にいた山口くんは、何かよく分からないことを明るく嬉しそうに言っていた。