第9章 “特殊”な私たち
「じゃあ影山、頼むな」
「…ッス」
「え、王様が鈴木送ってくの?大丈夫?」
「おいどういう意味だコラ」
「いや、帰り道一言も喋らずに歩くとか、鈴木には地獄じゃないかと思って」
「なら月島が送ってく?」
「……いや、べつにそういうんじゃ」
『いやいや!なんかすみません…ツッキーありがとう、影山くんも疲れてるのにごめんね…よろしくお願いします』
「…おう」
私たちは頭を下げて歩き出した。
みんなとの距離が開いたのを確認して話しかけた。
『ねえ』
「あ?」
『影山くん、ツッキーとなんかあるの?』
「なんもねえ、アイツがつっかかってくるだけ」
『そっか』
「そういや…国見のことは大丈夫なのか?」
『昨日の?連絡は取ってないけど…多分大丈夫かな』
「…アイツが幼なじみってことにしておけば、他人のフリはしやすくなんじゃねえの」
『そう、だね……あ、そういえばさ、私たちの家のこと武田先生には話したよ。それで、部誌に関しては武田先生が何とかするって言ってくれたんだけど…』
「清水先輩には話しておきたいって?」
『なんでわかるの!?』
「お前の顔見りゃわかる」
『…エスパータイプ』
「お前だってそうだろ」
『あはは、確かにわかる時あるね!…で、どうかな?』
「別にいいんじゃねえの?」
『え、いいの?』
「俺はそもそも隠す隠さないはどっちでもいいし、そこは鈴木さんに合わせる」
『そっかあ』
「明日話すのか?」
『うん、お昼休みか部活の前かな』
「…昼休みなら」
『え?』
「お前だけの問題じゃねえだろ、これは」
『一緒に話してくれるの?』
「…必要ねえなら、いいけど」
『必要ある!ありがとう、影山くんがいてくれたら心強い』
「…………」
『さっきはごめんね、上手く誤魔化せなくて…私のせいで色々言われちゃったよね…』
「おう、ぶっ倒したいって言われた、味方なのに」
『ほんっとごめん』
家に着いて、私たちは鈴木家の玄関から家に入った。夜間に洗濯をする時はうちと決まっていたから。
「『ただいま』」