第7章 再会
「ねえ鈴木、顔見せてよ」
そう言われて、私はゆっくりと顔を上げる。
すると、国見くんは私の近くまで歩いてきた。
「俺、鈴木にすごく会いたかった」
『……っ!』
「3年間一緒だったじゃん?…どうしてるかなって、毎日気になってた。俺、鈴木のいない教室にはまだ慣れてないみたい」
『国見くん…』
「…試合前、金田一から烏野の中にいる鈴木を見たって聞いてさ、そんなんさすがに見間違えだろって、鈴木がここにいるはずないだろって思ったのに。お前…どうしてここにいたの?」
『それは、』
「どうして、よりによって烏野なんだよ…っ」
『………』
「鈴木の居場所はそこじゃない!白鳥沢だろ!…白鳥沢だから俺には無理だと諦められたのに、鈴木が選んだのは烏野だって?ふざけんなよ…」
国見くんが声を荒らげるところなんて見たことがなかった。
「……そんなに影山がいいのかよ」
『えっ…?かげや、』
「“影山なんて知らない”、まだそう言うつもり?」
『ちょっとまって、』
「…ずっと嘘、ついてたんだな。影山のことも、進路のことも」
『ち、ちがうよ』
「違わないだろ?…俺見たんだよ、卒業式の日」
『卒業式…?』
「俺、鈴木が教室を出てからすぐに追いかけたんだ」
『!?』
「学校も離れるし、やっぱり言うなら今だと思って……なのに、何度も何度も…知らないなんて、よく言えたよな」
初めて2人で昇降口を抜けたあの日を、まさか国見くんに見られていただなんて。
「まぁそれがなくてもさ…俺は気付いてたよ」
『……』
「俺は、鈴木をずっと見てたから」
『!』
「…ねえ、いつから影山と付き合ってたの?」