第7章 MENさんの守護霊が
「ところで、ワシがここに来た理由がなんなのか分かるかね?」
もったいぶったかのように白蛇さんがそう問い掛けた。私は着替えをしに一旦寝室に行っていたが、白蛇さんの言葉は生きている私たちが使っている言葉や声とはどうやら違うもののようで、聞き取りづらいということはなかった。
私は白蛇さんにお茶を出しながら正直に答えた。
「全然。何かありました?」
ここ最近は幽霊に関する悪いことや不思議なことは起こってはいなかった。白蛇さんはなんだかんだ、私を助けたり助言をしてくれていたので、質問を返してみた。
白蛇さんはまたシャラシャラと笑った。
「お礼の話なんだがな?」
と切り出した白蛇さんの目を思わず見上げた。白蛇さんの目は相変わらず人のそれとは全く違う黄色で、目を細めるとうんっと瞳孔がますます細くなり、やはり私たちとは別の何かなのだろうと畏怖の念すら抱いてしまう程だった。
私がついその瞳に見取れて何も言わないでいると、途端に白蛇さんはシャッシャッシャッと笑って目を伏せた。そんなに見つめられても、ワシに惚れてしまうだろ、なんて冗談で言って。
「まぁ、MENはいつも行きたいとは言うてはおるのだがの」と白蛇さんは話し始めた。「奴、撮影とゲームばかりしておるだろう? あまり行く余裕はないようでの」
「えっと、なんの話で……?」
私は白蛇さんが何を言わんとしているのか分からず聞き返した。白蛇さんはギョロリと私を見て、こう言った。
「オヌシに頼みたいことがあるのだ」