第1章 1
でも、悟られたくはなかった。
他の女の子達のように、遊んで捨てられるのは嫌だった。
だから、気の無い振りをした。
賭けだって、本当は嫌だったけど乗った。
もう、既に負けている賭けだったけれど…。
「ははっ…たいした女だぜ、お前は」
「仕方ないでしょ、私は簡単には素直になれない…」
そう言って俯く叶弥を、跡部はぐっと引き寄せる。
そして、腕の中に収めるとぎゅっときつく抱き締め囁くように告げた。
「ったく…俺を本気にさせた女は、後にも先にもお前だけだ」
いいか、覚悟しろよ。
この俺が、1人の女に本気になったんだ。
逃げようったって、逃がさねえ。
離れようったって、離さねえ。
俺の見えない本音、お前だけにぶつけさせてもらうぜ。
END