吸血姫/フェイタン/イルミ/HUNTER×HUNTER
第4章 ザバン市
真相を知らないコーネリアはご機嫌が斜めだった。
「フェイ、私の財布出して」
手を差し出すがじっとコーネリアを見つめるだけで行動しない。
「フェイ?」
「ワタシこんなに肉いらないね」
手に持った串を振るフェイタンに困惑する。
「お腹すいてたんでしょ?」
「もう十分食べたよ」
十分?
肉二切れで男性のお腹は膨れるのだろうか?
見上げているとフェイタンは目を逸らした。
意味がわからない。
そんなコーネリア達を見ていた店主が笑った。
「彼氏は素直じゃねぇなぁ!お嬢ちゃんからお願いして欲しいんじゃねぇか?」
その言葉にフェイタンは店主を睨みつける。
その殺気に店主は肩を縮こませてせっせと肉を焼き始めた。
コチラをチラッと見たフェイタンがまた視線を逸らした。
「え…図星?」
「別に要らないならワタシ食べるね」
「あ!ちょっと!」
歩き出したフェイタン。
彼のショルダーバッグにお金が入っている為新しいのは買えない。
「フェイ!フェイったら!」
慌てて彼の腕を掴む。
「それ食べないなら下さい!」
目を輝かせて串を指さすとフェイタンが笑った。
「次どこか行く時はワタシに声かけるよ」
「うん!分かった!」
元気に返事をするコーネリアが約束を守るとは思わないがフェイタンは満足そうに串を差し出した。
「んー、美味しい!」
何の肉かは分からないが甘くて柔らかい。
少しレアのようで血の味もする。
「コーネリア!フェイ!早くしないと置いてっちゃうよー!!」
「ハ?」
ゴンの声にフェイタンが眉を寄せる。
フェイとはフェイタンの事だろう。
「アイツ…今ワタシの事なんて呼んだ?」
「落ち着いて!仲間なんだから寛大に、怒っちゃダメだよ?」
「ガキの癖にあだ名で呼ぶなんて、ワタシの事舐めてるね」
「心を開いてくれた証拠じゃない!」
フェイタンはイライラしている様子だがゴン達が警戒心を解いているのはいい兆候だ。
「ゴン達は傷つけないで、お願い」
「…分かたね」
承諾はしてくれたが、フェイタンからは負のオーラが溢れていた。