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吸血姫/フェイタン/イルミ/HUNTER×HUNTER

第4章 ザバン市


キリコにより運ばれたザバン市はとても賑わっていた。

出店も沢山ありキョロキョロと周りを見回していると、いい匂いに足を止める。

何か分からない肉を複数個串に指して炭火で焼いていた。

香ばしい匂いにジューシーな音。

「美味しそう」

「お!お嬢ちゃん買っていくかい?」

店主に見つかって笑われる。

人懐っこく白い歯を見せて笑うおじさんだった。

「あー、今手持ちなくって」

荷物は全部フェイタンのショルダーバッグの中。

ポケットに手を突っ込み宝石がないか確かめるが空だった。

「金がなきゃ売れねぇよ。こっちも生活がかかってるんだ」

「悪ぃな」と眉を下げる店主。

「そうですよね」

しょんぼりと肩を落とす。

「2本買うよ」

顔を上げると赤い財布を出したフェイタンがいた。

「あいよー!毎度あり!!」

店長の元気な声にハッとする。

「フェイ!ナイスタイミング!!」

わーいと手を上げると呆れた視線が返ってきた。

細かい釣り銭を返そうとする店主にフェイタンは首を左右に振る。

「重くなるから要らないね」

金を滅多に使わないフェイタンには小銭もめんどくさいらしい。

「何故声掛けないか?無言でどこか行くの辞めるよ」

眉を寄せるフェイタンが店長から肉を受け取る。

「いい匂いがして、つい」

へへへと笑うとフェイタンが目の前で肉を食べた。

「え!?私の為に買ってくれたんじゃ!?」

いつもなら何でも渡してくれるのに!

「ワタシもお腹減たね」

2本とも肉を一つ食べるフェイタン。

赤い財布は買い物をしないフェイタンの為にコーネリアがプレゼントした物。

つまりフェイタンのお金故に肉を奪うのは気が引ける。

この時フェイタンは用心深く肉に何か入っていないか確かめていたがコーネリアがその事を知ることは無い。
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