第8章 教えて
「……えあっ!?えっ!!!!??」
全く想像していなかった言葉だった。
こんな返答の準備をしきれていなかった頭が、慌てて聞き返した。
「クラスの人の連絡先は持っとけって、すがわ…部活の先輩に言われた」
影山くんは「だから連絡先ください」とでも言わんばかりの顔でこちらを見ていた。
「そ、そういうことか……」
私と話したいと思ってくれているのかと思った。
危うく勘違いしてしまうところだった。
「でも嬉しい!影山くん、メアド教えて!」
「…………」
「影山くん?」
「今携帯持ってねぇ。」
えっ。
この人は自分のメアドも覚えてないのか。
いや、イマドキそんな人、いるの…か??
これは、遠回しに断られているのだろうか。
「あ、えっと、本当はいらないんだったら…、その……」
「アドレス覚えてねえ」
あ、本当に覚えていないんだ。
「じ、じゃあ私のメアド、紙にメモしようか?」
「頼む」
少し積極的になりすぎだろうか。
いや、影山くんも欲しがっていたのだから
これくらいしてもいいだろう。
急いでカバンからメモ帳を取り出し、メアドを書いて影山くんに渡した。
「あざす」
「う、うん!
…そろそろ行かなきゃだよね、引き止めちゃってごめんね。
部活頑張ってねっ!!」
「おう」
返事をした影山くんは、そのまま体育館へと走っていった。
…影山くんと、こんなに話せるなんて。
影山くんのいなくなった教室で、改めて実感していた。
「…あっ!仁花待たせてるんだった!!」
思い出した私は、下駄箱へと急いだ。