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一作目 吉川詩音

第1章 本編


詩音は感情をむき出しにした。

「まふゆちゃん…!」

「…!」

「消えた方がいいとか、自分を探せないとか、
グチャグチャいっている、まふゆちゃんは…心底腹が立つ!
僕自身、何をしているんだって…思ってしまうくらい…」

「…」

「消えたいとか、平気で言えるわけ?
僕達の気持ちを踏みにじるつもりかよ!」

「何言っているの?私は何もっていない」

「何もない?僕にとっては、
まふゆちゃんと僕は違うって、感じている!」

「じゃあ、詩音くんは、何がしたいの?
自分は正義の味方のつもりなの?」

「僕は正義の味方じゃない。
ただ、みんなと一緒に、
まふゆちゃんを救いたい、
消えるのは、絶対に許さない」

「私が欲しいのは、誰かの賞賛でもない、
見つけたいだけ、そんなのは、
無理だってわかっていたら、どうでもいいの」

詩音は泣いた。自分の頭の中が、整理が付かない状態だ。

「僕や奏ちゃんじゃ、ダメなのか…」

「勝手なこと、言わないで」

「…!」

「勝手に共感して、救おうとして、嫉妬して…
やめてよ、十分でしょう…
私は…消えたい…それが本当の想いなの」

「それでも、わたしは、まふゆを救いたい」

「もう疲れたの!
希望があるからって!まだ、見つかるって!
だったら、最初から見つからないって、
思っていた方が、楽だった、
だから…もう、救われるなんて、思いたくない!」

「…!」

「もう疲れたの!探しても違うって、絶望して…
これ以上、どうしようもないじゃない!」

「わたしが作り続ける」

「え?」

「この曲で、まふゆが救えなかったとしても、
救えるまで、曲を作り続ける。
まふゆが自分を見つけられるまで、
曲を作り続ける」

「何言っているの?」

「わたしは、目の前で誰かが消えるのは、嫌だから」

「でも…奏…」

「うん、そうだよ、わたしと詩音くんが力になる」

「何それ…何を言ってるか、わかっているの?」

「わかっている」

「どうして、そこまで…」

「それは…わたしの、ただのエゴ」

「見つからないまま、終わるかもしれない、
それでも…本当に…やるの?」

「うん」

「二人とも、そんなに必死になって、バカみたい」

「まふゆ」

「まふゆちゃん」

「本当に、救ってくれるの?」

まふゆは救われたかもしれないと、
二人は、そう思うのだった。
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