第7章 She is pearl of me 25.8(裏)
ゆっくりとした足取りで少し前を歩く侑士。
いつもは、ギュッと握られる手はゆるく繋がれているだけ。
自宅から少し歩き、見えてくるのはドラッグストア。
テレビCMのイメージソングが流れる店内は明るい。
「見たいもんあるなら、見てきてええよ」
飲みもんとか、と手を離しかけた侑士に、大丈夫、とその手を握ろうとしたが、ずれてもいない眼鏡の位置を正した侑士に「うん」と名残惜しさを残して手を離した。
なんとなくメイク用品を流し見て、特に用は無い飲み物のコーナーまで回ってレジに向かう。
彼が店員から購入品を受け取ったのを見計らって、後ろに並ぶ。
「帰ろか」
再び握られた手と逆の手に下げられた、色付きのビニール袋に意識が行く。
何も話さないまま、真っ暗な家へと帰りついた。
(どうしよう)
お風呂は済ませているし、このまま部屋に直行すべき?とぐるぐるぐるぐる思考を回していると、マコト、と呼ばれて振り返る。
「最後に、聞いてええ?」
「なに?」
ドキドキとした心音が、三和土に立つ侑士に聞こえてしまいそうだった。
「俺でええん?」
玄関を上がり、いつもよりほんの少しだけ距離が近い侑士の顔を見る。
部屋の時計の針が、カチ、コチ、と秒を刻む音がよく聞こえる。
上がった玄関を少し戻り、ゆっくりと侑士に抱き着いた。
「好き」
少し、侑士が息を呑んだのがわかった。
「愛してるの」
「俺も、愛しとるよ」
うん、と頷き、見つめ合うと、恥ずかしさに俯いた頬を撫でる手に、視線が合う。
「ゆう、」
「真珠」
唇が重なると、そっと左手を撫でる右手と繋ぐ。
指を絡め合ったり、握手するように重ねてギュッと握り合ったりしながら、離れた唇がまた触れ合う。
「ゆうが、いい」
「ん」
袋を拾い上げて、行こ、と侑士の手を引いた。
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