第3章 12歳年下の彼
『何事かと思って心配しましたけど。
お話をお聞きして、安心しました、
ただの朗報じゃないですか』
私が…家を近い内に
出ないといけないと彼に言うと。
そう…さらっと返事を返して来て。
「そうなんですよ…、
でも不動産屋さん…
仕事帰りは開いてないし。
この週末は…その…デートは…」
『え?何で、不動産屋行くんですか?』
「何でって、でないと…住む場所が…」
『良いですって、でしたら
僕のアパートに巴さんも、
一緒に住めばいいじゃないですか。
それで、全部解決しますよ?』
と…ニコニコしながら港斗が
名案と言いたげにそう言って来るが。
彼が犬なら、今凄い…
尻尾振ってそうな気がする…と。
その顔を見ながら、
巴は思って居たのだが。
私と彼は、…つい先日…
交際を始めたばかりで。
まだ…交際歴は…2週間にも満たない。
「流石に…それは…、
幾ら何でも、港斗さんに悪いですし。
…それに、色々と早すぎますよ…」
『そうですか…、じゃあ…
何時頃からなら良いですか?
それまでに今の所よりも、
広いアパートに引っ越ししたいんで』
「いや、ですから…。
港斗さんは…色々と…気が早すぎます…」
『じゃあ、週末は一緒に、
不動産屋に行きましょうか…。
あ、そうだ。巴さん、
僕の住んでる所、空室ありますよ?』
「いや…、あの…ですから…」
それだと…部屋を別々に借りてるだけで、
この…彼の事だから毎日部屋に来て
そのまま強引に泊って行きそうだからな…。
そうなってしまったら、実質
同棲してるのと…変わらないし…。