第104章 彼と私の8月26日 ―夜―
「そうなんだぁ…また来たいなぁ…」
『誕生日…とかですか?』
私の誕生日は9月の1日だけど、
今日は…26日で……当日は
日曜日だから泊まるとしたら
金曜日とか土曜日なんだろうけど。
「いや…さすがにそれは…
っと…こっちにも部屋があるね」
ガラガラと戸を開くと
ちょっとした和室があって。
ここでお布団を敷いて
最大5名まで泊れるのだそうだ。
『冷蔵庫はフリーなんで、
飲み足りなくても大丈夫ですよ?』
「今日は…コースを頂きながら
結構…飲んでる気がするんだけど…」
『ベッドルーム…とバスルーム
まだ見てませんよ?
ほら、見に行きましょうよ』
と…促されて
これまたお洒落なガラス張りの
バスルームには、存在感のある
黒い箱が置いてあって。
その中には真っ赤なバラが入っていて。
「これは、サービスじゃないよね?」
『はい、それは僕が頼んで今日
ここに着くようにして貰ったのを
ここに置いて置いて貰ったヤツです。
一緒にバラ風呂入りましょうよ』
「さっきエステでも…
カラフルな感じだけど…
お花のお風呂……用意して貰って
1人で入るの寂しいと言うか
勿体ないなって思ってたから……
うん、一緒にお風呂…入りたい…」
バスルームに来たついでに
栓をしてお湯張りをスタートして。
そのまままだ行ってない
ベッドルームに向かった。
ベッドルームはキングサイズが
ハリウッドスタイルになっている
超巨大なローベッドがあって。
ベッドの上には…バラの花びらで
大きなハートが描いてあって。
「きゃああっ…っと、ごめんっ
大きな声…出しちゃって…つい。
これも…?これも…港斗君の
お祝いのサプライズって事?」
『こう言うのってずっと
一回、やってみたいなぁって
思ってたんですよねぇ。
なんかこう言う…花びらを
散らしたベッドって…
特別な日って感じがしませんかね?』
「ちょっと、サービス過剰じゃないかな?」
『そんな事ありませんって、巴。
今日って言う日は…僕の一生にも
巴の一生にも1回だけですよ?
これから先、何回8月26日が来ても
入籍した8月26日は今日だけですからね』
「うん、ありがとう…港斗君…」