第5章 狐妖怪の恋の始まり
大妖怪視点
俺は昔から存在していた。
万葉集が作られていた時代から。
今思えば、蘇りの鏡が生まれた時代から。
その頃は夜中に畑の物を、盗み食いしてそれが民に見つかって追いかけられた。
ある夏の日
俺は林の木の間で寝ていた。
熟睡をしていた時だった、尻尾に矢が刺さっていた。
起き上がり後ろを振り返ると、大勢の人間が矢を持って俺を打とうとしていた。
このままでは命が危ない。
暗闇の中逃げる。
月が出ていなくて、逃げるには好都合だった。
尻尾からは血が出て頭がクラクラする。
川に付き尻尾を、水に浸けると染みた。
草むらの方から視線を感じた。
狐妖怪「誰だ?」
鬼の妖怪が二匹出てきて、俺を見て笑いはじめる。
鬼妖怪「けっけけけけ〜、間抜け」
鬼妖怪二「今なら倒せるぜ」
鬼妖怪三「倒して俺達が大妖怪を名乗るぜ!」
襲ってきた、一瞬で遠くへと移動することは可能。
移動をして川の滝付近にある岩へと、移動してまた尻尾を水に浸けて寝る。
鬼妖怪は喚き散らして何処かに行ってしまった。
俺は力を使い切ってしまった。
狐の里に二年の数月を掛けて戻る。
治るには時間が掛かった。
千年もの時間が過ぎた。
狐の里の者に人間の村の様子を、見てくれと言われた。
木を切ってる村の者が、俺の姿を見て青い顔をした。
妖怪に出くわすと思っていなかったのだろう。
無視をして行こうとすると、後ろから話し掛けてきた。
村人「俺のかーちゃんの仇を撃たせてもらう!」
そう言えばムシャクシャして、人間を最近殺したな。
女だったか?
鎌を俺に向けてきた、避けて逃げたが脇腹から血が出ていた。
千年前といい俺は間抜けだ。
大妖怪の名が泣く。
血だまりが出来て、倒れて意識を失った。
しばらくして染みる感覚。
目を覚ますと小さい人間の娘が、俺の脇腹を治療していた。
包帯で巻こうとするが、体が大きいから苦労していた。
俺は治療が出来るように、体を動かしたりした。
包帯を巻き終わると女の子は俺の、正面にきて地面に座って目線に合わせて言った。
娘「狐さん? 怪我大丈夫? 明日美味しいもの持ってくるね」
俺は返事はしなかった。
次の日は約束通り持ってきてくれた。
その次の日も。
治るまで看病をしてくれた。
お友達も連れてきたり。