第6章 紅二点
〜五条悟side〜
釘崎達を廃ビルに見送ってから最近ずっと聞きたかった質問を夏梨に投げかける。
私を大切にしてくれる人。と答えが帰ってきた。
実に夏梨らしいなと思う。今まで育ってきた環境からその答えになったのだろうが、夏梨の清らかな性格がよく現れている回答だと思う。
僕は君を大切に思っているよ。生徒だからではなく…もっと特別な理由で…。
そんなことを伝えれる訳もないから冗談のように口にする。
『僕なんてどお〜?☆』
「先生が生徒に手を出すのはアウトでは…?」
そうだよ。僕は先生だ、この気持ちはあってはならない。だが日に日に僕の中の夏梨は大きくなっていく。
僕いつまで耐えれるかな笑と自嘲的に思う。
冗談混じりに口説き文句を口にしていると、恵が先生には不安で預けられない。っと口にする。
ん??さては恵も…
心にモヤがかかるが、今は気付かないふりをしよう。自分が苦しいだけだ。
一連のやり取りを聞いていた夏梨が、あははっと出会ってから初めて見る笑顔を見せる。
その笑顔はまるで女神そのものだ。
夏梨のこの笑顔を守るためなら僕はなんだってする。なんだってだ。
それくらい夏梨の事が僕の中で大切だ。