第6章 紅二点
〜伏黒恵side〜
暇だ…
虎杖達が呪霊を払いに行っている間暇になってしまっている。
すると五条先生がおもむろに夏梨の好きな人もしくはタイプを問いただしていた。
密かに夏梨を気にしている身からすると、正直言ってめちゃくちゃ気になる。
が、
本人がいる手前キャラを崩したくなくてそっぽを向く。
夏梨と出会ってからそっぽを向いてばっかりな気がするが、それは置いておく。
「ん〜強いて言うなら、
私を大切にしてくれる人ですかね?
毎朝挨拶をしたらちゃんと挨拶返してくれるとか、
そういう些細なことでも大切にされてるなって感じさせてくれる見たいな?」
少し考えてから夏梨がそう口にする。
良かった。俺は夏梨を大切に思う気持ちなら誰にも負けないと思っている。
それと同時に疑問を口にしてしまった
「挨拶返すとか当たり前だろ」
瞬間、夏梨は少し切ない今にも消えてしまいそうな表情になる。
「普通はそうだよね。でも私は違うかったから。1度で良いから大切に思われてみたいんだ」
と今度はなんとも言えない儚い微笑みを浮かべる。
心臓が握りつぶされたようだった。今すぐにも抱きしめたいそんな衝動に駆られたが、ぐっと堪える。
その後、五条先生が夏梨に向かって『僕にしなよ?』と口説いているのを見て何となくもやもやする。
先生に預けるとか不安過ぎて無理だ。
そう率直に口にする。
そんな会話が面白かったのか、夏梨はあははっと出会って以来一番の花が綻ぶような笑顔で笑った。
綺麗すぎて目を見張る。この子にはずっと笑っていて欲しいなと心から思った。