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【呪術廻戦】あなたに殺された私は呪術師として生まれ変わる

第12章 ある夏の日の情景(外伝・夏油傑視点)





この神社のどこかに呪霊がいる。
だが、脅威を感じるほどの呪力ではなく、高く見積もっても二級程度の呪霊だろう。
祭りで賑わっているこの状況で、表立って事を起こす可能性は低い。
こちらがあからさまに警戒すれば、呪霊も警戒心を強めて攻撃に出てくる恐れだってある。
祭りが終わった後にでも、私一人で祓いに来ればいい。

と一緒に参拝を終えて、もと来た参道へ舞い戻る。



祭囃子の音色が聞こえる夏の夜に、提灯のぼんやりとした明かりに照らされながら、浴衣姿のが私に笑いかける。

私はこの情緒的な美しい夏の情景に、いつまでも浸っていたくなった。



地元の祭りということで、の高校や中学の頃の同級生など見たことのある顔もちらほらと見かけたが、遠巻きにを見てくる男どもは私と視線が合った途端に青ざめた顔をして、その場からそそくさと立ち去っていった。
私には勝てないとよく分かってるじゃないか。

何も闇雲に牽制しているわけではない。
私の大切な姉を任せられるような男がいない。
ただそれだけのことだ。



「、舌に色ついてるんじゃない?」

「えー?本当に?」

はかき氷を食べる手を一旦止め、私に見せるように舌をちらりと出す。
かき氷にかけられたブルーハワイのシロップの、夏の青空のような青色にの舌は染まっていた。

「傑だって色ついてるよ。ほら、見せて。」

イチゴのシロップがかかったかき氷を食べている私も、と同様に舌を出してみると、どうやら赤色に染まっているらしい。

夏の風物詩とも言えるそのやりとりに、私達は童心に帰ったように、お互い見つめ合いながらくすくすと笑い合った。



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