【呪術廻戦】あなたに殺された私は呪術師として生まれ変わる
第15章 一陽来復を願う(外伝・伏黒恵視点)
「…!」
俺達のもとに五条先生がやってきた。
どうやらさんを探していたらしい。
「恵と一緒だったんだね。珍しく打合せ予定の時間になっても来ないって伊地知が心配してたよ。」
「えっ!?もうそんな時間…悟くん、呼びに来てくれたの?」
「高専内にがいるのは呪力で分かってたからね。」
「ありがとう。伊地知くんのところに行ってくるね。」
さんは去り際に俺の方を振り向いて、いつものように微笑んだ。
「恵くん、話聞いてくれてありがとうね。」
「なーに話してたの?」
さんがいなくなった途端、五条先生は機嫌を損ねたように俺へと詰め寄った。
「…言いません。」
「はぁ〜…いいねぇ、恵は。昔っからに可愛がられててさ。」
「…だから昔から俺のこと警戒してるんですか?ガキだった俺に牽制までして。」
「だって恵、最初からに名前で呼ばれてるんだもん。普段から僕が恵って呼んでるのをもそのまま呼んだだけなのは分かってるんだけどさぁ。僕が名前で呼ばれるようになったのなんて最近になってやっとだよ?」
そう、去年の暮れにやっと五条先生のさんへの思いは報われたのだ。
それまでの十年間、五条先生に俺がどれだけさんと関わる出しに使われてきて、理不尽に妬まれてきたことか…
去年の暮れといえば…百鬼夜行の首謀者、夏油を処刑執行したのは五条先生だと聞いたが。
…いや、俺が心配しなくとも、この人達のことだから、お互いすべてを分かった上で結ばれたのだろう。
「五条先生」
「んー?」
「さんを幸せにしてくださいよ。」
「…それはいつも肝に銘じてるよ。」
五条先生はさんのことに関してはいい加減な言動をしないと、俺は昔から知っている。
俺はただ、さんの穏やかな微笑みがこれからもずっとそこにあることを心の中で祈るばかりだ。
“一陽来復を願う”END.