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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第4章 禅寺人斬り騒動編


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男の子を連れ帰った私は、すぐに翔吾さんに事の経緯を話しました

翔吾さんは私の話を聞くと



翔吾「それは可哀想に、たんとご飯を食べさせておあげょ

ついでに、湯あみをさせてやって、綺麗にしてあげると良いね

恋太郎の着物じゃあちょっと小さいけど、とりあえずそれに着替えさせておあげ」



と言って下さったので


私は早速、男の子にご飯を食べさせてあげて

湯で体の汚れを落としてあげました



すると、男の子は疲れていたのでしょう

湯から上がると、お昼寝をしていた恋太郎に寄り添う様にして、あっと言う間に眠ってしまいました



(……何か、身許が解るような物は持っていないかしら?)



私は、そう思って、男の子の着ていた物を探りました



(……あら?……何かしら、コレ……?)



しばらく着物を探っていると、その袂の辺りに何か固いものが入っているような感触がして

私は、思い切って其処を鋏みで切って中の固いものを取り出したのですが


なんと、中から出て来たのは


身なりには相応しくない、家紋入りの立派な錦の守り袋だったのです







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お智「………このお守り袋の中には、へその緒が納めてられておりました

そして、其処にあった奉書に、“侑李若丸”と書かれていたのです」



事の経緯を話し終えたお智ちゃんは

そう言うと卓袱台の上の守り袋を見た



にの江「………侑李、若丸……

“若丸”って、じゃああの子は……」

お智「……ええ……それを証明する、書付も御座いましたから

あの子は間違いなく……

……この家紋の大名家の、若君だと言うことです。」



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