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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第4章 禅寺人斬り騒動編


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雅吉「……なぁ、坊主……その姉さんは、坊主の母ちゃんじゃあないだろう?

よく、顔を見てごらんょ」

侑李「…………」



男の子……侑李ちゃんは、雅吉にそう言われると、おずおずと顔を上げて

じっとあたしの顔を見詰めた



雅吉「………どうだぃ、ん?」

侑李「………………にてるけど、ちがぅ////」

雅吉「そうかい……母ちゃんに似てるのかぃ………んじゃあ、坊主の母ちゃんも、別嬪さんだな(笑)」

侑李「……うん////」



侑李ちゃんは、雅吉に母親の容姿を誉められると

控え目に

でも、嬉しそうに笑った



雅吉「よしよし、やっと笑いやがったな!(笑)」



雅吉は、侑李ちゃんの頭を少し乱暴にわしゃわしゃと撫でると

立ち上がって侑李ちゃんの手を握った



雅吉「ぃよぉし、んじゃあ坊主

景気付けに、この雅吉兄さんと、そこいらに遊びに行こうぜぃ!」

侑李「…おそとに、いくの?…こわぃおしゃむらい…いない?」



遊びに誘われて、急に怯えた様な素振りを見せる侑李ちゃんに、ニイッと笑ってみせると

雅吉が腕を捲って力瘤を見せた



雅吉「なぁに、どんなに怖いお侍が来たってへっちゃらだぜぃ!

なんたって、俺ぁ天下の遊び人の、雅吉兄さんなんだからよっ!!」

にの江「……なんだぃその、天下の遊び人ってぇのは

んなモンこれっぽっちも自慢にならなぃよ(苦笑)」



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