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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第4章 禅寺人斬り騒動編


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にの江「………そうかい」



(やっぱり、生田さんだったんだね…)



いくら修行を積んだ僧侶と言えど

人斬りをするようなお侍を、棒っきれ一つで追い払うなんて、出来る訳がない


だとしたら、その僧侶は、自ずと出家する前に相当剣の腕を磨いていた人物に限られる



(……やっぱり、“腐っても鯛”、だねぇ(笑))



あたしはしみじみとそんな事を思いながら

自分の肩を抱く雅吉の胸に甘えて寄りかかった



にの江「……全く、あんたって人は、読み書きもろくすっぽ出来ないクセに、そう言う余計なコトだけには詳しいんだから(笑)」

雅吉「まぁなぁ、確かに読み書きゃあサッパリだけどょ

俺には元武家のお嬢さんで、すこぶる頭の良い嫁さんがいるからょ

不自由はしねぇよ!(笑)」

にの江「……よく言うょ(笑)」

雅吉「なぁ、にの江…んなコトぁ良いからよ…」

にの江「………解ってるょ///」



あたしは、抱いたあたしの肩をゆっくりと撫でる亭主に、ぎゅっと抱き付いた



にの江「……今夜は、ゆっくり眠るのは諦めるよ(笑)」

雅吉「……そうさなぁ……たまには一緒に、昼間まで寝坊すんのも悪くないかも知れねぇぜ?」

にの江「…………ばぁ〜か////」



雅吉は照れるあたしを見て、にっこりと微笑むと

軽々と両手にあたしを抱き上げて、寝所へ戻った




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