第4章 禅寺人斬り騒動編
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信吾「……んで、ですわ
その坊さんが
“斬られた女人は、最後に子供を捜してくれと言い残して事切れた。
私は人捜しが得意そうな暇人に心当たりがある。
お主、悪いがその暇人に“ゆうり”と言う名の子供を捜してくれるように言付けてはくれまいか”
って、言いまして
訊いたら、なんと雅吉さんのコトだって言うもんやから
もう、こりゃあ早速!ってんですっ飛んで来たんでさぁ!!」
信吾さんは、全て話し終わると
ふぃ〜っと長いため息をついた
(雅吉に心当たりがあるお坊さんって…)
雅吉「……その僧侶の名前は、斗真ってぇ名じゃなかたかぃ?」
ずっと黙って腕組みしたまま信吾さんの話を聞いていた雅吉が
腕を解いてその手を胡座をかいた膝の上に乗せる
信吾「そうですそうです!なんや、やっぱり知り合いやったんすな!!」
信吾さんはまたペチッと額を叩くと
んじゃあそう言うことやさかいよろしゅうと叫びながら、帰って行った
にの江「………アンタ、“斗真”って…」
雅吉「……その昔、北斗星君っていう道教の神様がいてょ」
信吾さんが帰った後
お坊さんの名前を言い当てた雅吉の顔を覗き込むと
雅吉は、隣でちょいと怪訝な顔をしているあたしの肩を抱き寄せて話し始めた
雅吉「その神様がょ、なんだか人の善悪を判断するとかでよぅ
だから、その神様から名前の由来を肖って“斗真”って名前を貰ったらしぃぜ
………生田のやつぁ」
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