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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第4章 禅寺人斬り騒動編


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信吾「じつぁおいら

なかなか運良く人斬りの現場に出くわせへんかったんで

よっしゃココは一つ、例の禅寺の前で張っててやろう思うて

んで、しばらくしたらキャー、なんて女の声が聞こえたんでね

そんで声のした方を見たら、女が覆面のお侍にこう、ばさぁっと斬られてるトコで…

んで、悲鳴を聞きつけた禅寺の坊さんが寺から飛び出して来まして


なんやその坊さん、その辺に落っこちてた棒っきれを拾うて、ごっつい格好良く覆面のお侍を追い払ろうて

そんでもって

手当てをするからと言って、女を寺の中に連れて行ったんですわ


んで、おいらはしばらく寺の門の前で中の様子を伺ってたんやけど

なんや、女を助けた坊さんが出てきて、傷が深すぎて助からんかったて言いまして…」



信吾さんは其処まで一気に喋ると、ふうっと大きく息を吸った



にの江「大丈夫かぃ、そんなに一気に喋って

息切れしてんじゃないのさ(苦笑)」



あんまりベラベラ喋り続けて息を切らせている信吾さんに、そう言って声を掛けると

信吾さんは

「いやいや、なんのコレしき!」

とか言いながら、勝手に台所へ行って手酌で水を飲み


また話し始めた



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