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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第4章 禅寺人斬り騒動編


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雅吉「まぁ、俺の仕業で色っぺぇ姿になっちまった訳だがな(笑)」

にの江「は、恥ずかしいコト言うんじゃなぃよ他人様の前でッ!!////」

雅吉「なんでぇにの江、そーゆーお前は、恥ずかしい姿を他人様の前に曝したじゃねぇかょ」

にの江「うるさぃねッ!!!////」



あたしは、首が詰まる位にキッチリと着物の前を合わせて帯を結い直すと

こほんと咳払いをしながらもう一度廊下に出た



にの江「……で、人斬りを見たってのは何処なんだぃ、信吾さん」



信吾さんは、あたしの直した着物をちょっと残念そうな顔で眺めると

気を取り直して(笑)話しの続きを語り始めた



信吾「へぇ、それがでさぁね

またぞろ例の禅寺の前でして」

にの江「………またかい」



あたしはため息をつきながら腕を組むと

雅吉の隣に座った



“例の禅寺”とは

最近人斬りが頻発している近辺にある禅寺で


…それは、あたしと雅吉にとっては、少なからず縁のある禅寺だった



(……生田さん、元気にしてるかしらねぇ)



雅吉を逆恨みした挙げ句出家した元紀州藩士に思いを馳せる



雅吉があたしと同じように腕組みしながら信吾さんに言った



雅吉「しかしなぁ、信の字よ

いの一番で知らせてくれったぁ言ったけどょ

こんな時分に人んちに押し掛けて来るこたぁ無かろうょ(苦笑)」

信吾「いや、それが訳ありなんでさぁ!!」



相変わらず苦笑いしている雅吉が珍しい小言(笑)を言うと、またペチッと額を叩いた




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