• テキストサイズ

蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第4章 禅寺人斬り騒動編


.



閂を外して雅吉が玄関の戸を開けると

信吾さんが待ってましたとばかりに家の中に雪崩れ込んで来て

興奮冷めやらぬと言った感じて雅吉の肩をバシバシと叩いた



信吾「雅吉さん、雅吉さんっ!ついに見たんでさぁおいらっ!!もう、そりゃあすんげぇ見物やったでぇっ!!!」

雅吉「だから、何を見たってんだぃ(苦笑)」



雅吉は苦笑いしながらバシバシと肩を叩く信吾さんの手を退けて、玄関先にドカッと腰を下ろした



雅吉「ちゃんと筋道を立てて話してくれゃ

じゃなきゃあ、何のこっちゃさっぱり解らねぇぜ?」



雅吉にそう言われると、信吾さんはペシッと自分の額を叩いてペロッと舌を出した



信吾「いけねぇいけねぇ、おいらつい興奮しちまって……目の前で人が斬られるの見たんが初めてやったもんで…」

にの江「目の前で人が斬られただって!?」

信吾「……お〜…////」



ただ事では無い話に、思わず寝床から玄関先に飛び出すと

そんなあたしを見て信吾さんが目を丸くした



雅吉「…………にの江よぅ(苦笑)」



雅吉は、目を丸めている信吾さんを横目で見てから

ぽりぽりと首筋を掻きながら苦笑いした



雅吉「そーゆー色っぺぇ姿は、俺以外の男にゃあ見せねぇでもらいたいもんだがなぁ(苦笑)」

にの江「え?………!!////」



あたしは、乱れた着物の前を掻き合わせると、バッと寝所に引っ込んだ



.
/ 286ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp