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風神の神子  【原作沿い マルコ夢】

第2章 航海士ナミ


「あー…腹へった…」
「………」
「なぁ、ララ。もうメシねェのか?」
「ないよ」

シェルズタウンを出てから数日。

物資が尽きた。

そもそもルフィは物資の調達などしていなかった。

ララが町で調達していた僅かばかりの物資だけでなんとか食いつないでいた。

それも今はもうない。

「だいたい、お前が航海術持ってねェのはおかしいんじゃねェのか?
物資だってねェし」
「おかしくねェよ。漂流してたんだもん俺は!
お前こそ、海をさすらう賞金稼ぎじゃなかったのかよ?」
「俺はそもそも賞金稼ぎと名乗った覚えはねェ。
ある男を探しにとりあえず、海に出たら自分の村へも帰れなくなったんだ。
仕方ねェからその辺の海賊船を狙って生活費を稼いでた…それだけだ」
「なんだ迷子か」
「うん、迷子だ」

ララとルフィは憐れんだ目でゾロを見た。

彼は方向音痴のようだ。

この三人の中で航海術を持っている者はいない。

それは海賊にとって致命的だった。

「その言い方はよせ!!てめェら!!
まったく…!航海もできねェなんて聞いて呆れるぜ!これじゃ、グランドラインも目指しようがねェ。
早いとこ航海士を仲間に入れるべきだな」
「あとコックとさァ、音楽家とさァ…」
「んなモンあとでいいんだよ!!」
「あははっ!」

もっともな事を述べるゾロにたいして、ルフィは指折りしながら他にも仲間にしたい職業を口にした。

優先順位の低い音楽家やコックなどを。

危機感のない男だ。

ゾロは突っ込まずにいられなかったようだ。

そのやりとりはララの無邪気な笑顔を誘った。

二人の視線がそちらに向く。

「……」
「……」
「…な…なに…?」
「…チッ…」
「?」
「お前、笑うときれいなんだな!」
「へ……?
……ぁ…ありがと…?」
「おう!」

無邪気に笑うララの笑顔は天使のように愛らしく、そして綺麗だった。

ゾロが見惚れてしまうほどに。

ルフィは素直にその笑顔を褒めた。

綺麗だと、どストレートに。

異性からそんな風に言われたことなどララにはなかった。

マルコ以外には。

あまりに美しいその美貌は人を近づけさせない。

だからルフィのその言葉に彼女は戸惑いを隠せなかった。


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