第1章 海賊狩りのゾロ
ここはイーストブルーのとある島。
銀髪の長い髪にエメラルドグリーンの大きな瞳をした美しい美貌をもつ女性、ララは海軍基地のある町シェルズタウンに来ていた。
黒いパーカーに黒のショートパンツという真っ黒な格好をしている彼女はフードを目深に被り、顔を口元まで隠す。
側から見れば完璧怪しい人間だが、ララは気にせず町に繰り出した。
「モーガン大佐…」
町の掲示板にでかでか、と貼ってある貼り紙にこの町の海軍大佐の写真が貼ってあった。
斧手のモーガン、という異名を持つ。
それなりに強いのだろう。
しかしララは気にした様子もなく、すぐにその貼り紙から視線を外した。
「おなかすいた…」
朝から何も口にしていないララは空腹感に襲われていた。
お腹を抱え、食事が取れそうな場所を探す。
キョロキョロ、と辺りを見渡して。
こぢんまりとしたレストランが彼女の瞳に映った。
【FooD Foo】という地元民に愛されたアットホームなレストラン。
ララはそこで食事を取るために店内に足を踏み入れた。
「じゃ、この町でコビーとはお別れだな。海軍に入って立派な海兵になれよ」
「はい……!ルフィさんも立派な海賊になってください。
いずれは敵同士ですけど」
店には数人の客が食事をしながら談笑していて、その中に麦わら帽子を被った少年と眼鏡をかけた少年が別れを惜しむ会話が聞こえてきた。
ララはその会話を聞き流しながら適当な席に座る。
ルフィ、という名に聞き覚えがあるような感覚を感じながら。
(……ルフィ…どこかで聞いたような……
……どこだっけ?)
「そういや…
基地にいるのかな、あの…ゾロって奴」
麦わら帽子を被った目の下に傷のある少年、モンキー・D・ルフィが何気なしに言った言葉。
その瞬間。
店内にいた客、店員、コックの全員が音を立てて部屋の隅に飛び退き、怯えたようにルフィを見た。
町の噂によるとこのシェルズタウンには海賊狩りロロノア・ゾロが海軍基地にて磔にされているそう。
海賊狩りと言えば聞こえはいいが、魔獣という異名を持つ彼は人々から恐れられていた。
血に飢えた野犬のように賞金首をかぎまわり、海をさすらう男だと。