第10章 知らない女の子と五条くん
「俺が寧々の選んでやるよ」なんて言って入ってきたら、軽蔑どころでは済まなかったでしょうね。
私達から離れた五条くんは、沢山のテナントのある駅ビルのどこかで暇つぶしをしていることでしょう。
買い物を終えたら、連絡くらいしようかしら。
「寧々はこういうのが似合いそうよね」
「そんな派手なもの着る機会がないわよ」
大きなフリルが贅沢にあしらわれた下着のセットなんて、似合いもしないし持て余すに決まってる。
「硝子だったら、こっちのレースなんてどうかしら?」
「うーん…シンプルで良いけど、寧々ならこの色の方が」
お互いの下着を選ぶなんてこと、したことなかったけど…案外楽しいものね。
ふらっと立ち寄って何となくで買っていたものだけど、誰かと一緒に見るのは角度が違って面白い。
「なんだかんだ言って着け心地よねー。誰かに見せる訳じゃないんだしさ」
「そうね。自分が良いと思ったものを身に付けるのが一番ね」