第9章 番外編/濡れてないと…
悪いな寧々、俺は好きな子にバカって言われる分には問題ないんだよ。
なんなら、嬉しいくらいだけどな?
「寧々も変態だな」
「ご、五条くんだけよ…っ」
バカと呼ばれても嬉しい俺が変態気質なのは認めつつ、寧々も同罪、お仲間って括りには納得いかないらしい。
「諦めろよ、こうしている間にもタッてんだからさ」
「時間の話でしょう!?」
寧々はつかつかと俺に歩み寄って、細めた眼差しで俺を睨み見た。
「どうだろうな。違う時もあるかもしんねぇけど…って、寧々はどんな時を想像したんだ?」
生真面目な寧々がソレを口にするとは到底思わないけど、真っ赤っかに染まった顔は火を見るよりも明らかだ。
「し、知らない…っ!」
一蹴するように再度俺を強く睨んだ寧々は、急足で高専の中へ入って行った。
「着いてこないで!」
そんなことを言われたらピッタリ密着したくなるのが男ってものだろ。
寧々の逃げ足も女子にしてはかなり早いけど、男の俺かつ運動神経抜群、スタイル抜群、性格以外完璧の俺はすぐに追い付いた。
「硝子!」
寧々が逃げおおせた先は医務室で、ガラッと扉を開けると中には硝子となぜか傑がいた。
「寧々?そんなに急いでどうしたの?」
「悟に何かされたのかい?」
おいおい、この流れは……