第8章 違う人と任務
「そんな…悪いわよ」
「なに、ちょっとしたお礼さ」
夏油くんは私からカゴを取って、さっさとお会計を済ませてしまった。
五条くんもお財布を出して払おうとしていたけど、夏油くんに頑なに拒否されていた。
若干、会計時に店員さんを戸惑わせながらも、夏油くんはクッキーの入った袋を受け取り、私に差し出した。
「心ばかりの品だが、受け取ってくれるかな」
「あ、ありがとう」
私が夏油くんから袋を受け取った後ろで、五条くんが棚にあるありったけのクッキーを買い占めていた。
私のお気に入りのメーカーのもの以外にも、コンビニ限定品やファミリーパックなど種類を問わずに。
「俺からもプレゼントだ、受け取れよ」
「あ、ありがとう…」
綺麗にすっからかんになった棚に唖然としながらも、パンパンに詰まった袋を受け取った。
「2人とも、ありがとうね」
両手に花…ならぬ、両手に沢山のクッキー。
なまちゃんにお裾分けしても食べ切れるかどうか…。
「寧々、一旦全部俺に預けろ。重いだろ」
「ありがとう…?」
その重さの要因は五条くんにあるんですけどね…?