第8章 違う人と任務
「待て寧々!」「寧々ちゃん、待つんだ」
「えっ?」
高専の階段を駆け降りようとした私に、2人が慌てて声をかけた。
「転んだらどうすんだよ、俺も一緒に行く!」
「そんなに急いでいたら転んでしまうよ。私もついていこう」
どういうことか、私が転んで怪我をするのではないかと心配した2人が、お供としてコンビニまで同行することになった。
「寧々、手繋ぐぞ」
「嫌」
散歩に連れ出される飼い犬ではないのだから。
それに今日はもう十分、手を繋いだからね。
そんな私の返答に五条くんは不満だったようで、服こそ擦れるけれど体がギリギリ触れない…そんな距離で並んで歩いた。
一歩後ろを夏油くんが歩く。
優秀なボディガードを引き連れて、難なくコンビニまで辿り着いた。
「たかがクッキー1つ買うのに大袈裟よ」
お目当てであるお気に入りのクッキーの箱を取って、カゴに入れる。
「あ、新作出てる…イカスミ味…?」
定番のバター味の隣に陳列された新商品。
真っ黒のパッケージには真っ黒のクッキーの写真が。