第8章 違う人と任務
五条くんと夏油くんの繋いだ手に触れなければならない…ということ。
考えて、考えて……
「ーっ、切った!」
「おっと…!」「チッ…」
すりすりした後のなまちゃんのぬめりを拭ったハンカチ。
それを手に巻きつけて、2人の間を断ち切った。
ポケットから再びハンカチを取り出した私を見て、何かを悟ったらしい五条くんは
せっかく解放してあげたというのに、さも残念極まりないと言った顔で舌打ちをしていた。
私が自ら雑念塗れの変態に触れるとでも思ったの…?
そして鬼役の夏油くんはすぐさまストップと声を掛け、逃げた私達はその場で立ち止まる。
腑に落ちないのは、一番最初に反則負けをした五条くんが、最も遠くまで逃げおおせたということ。
瞬間移動こそ使っていなかったけど、持ち前の運動神経の良さをフルに活かして、捕まりづらい距離まで逃げた。
「鬼の手を切った寧々ちゃんに聞こう。私は何歩歩いたらいい?」
私となまちゃんはほぼ横並び。
五条くんだけがずっとずっと遠くへ逃げた。
自分の安全は守るとして、鬼にタッチされて負けて欲しい人はただ1人。