第8章 違う人と任務
「ううん…ひとにとりつくのは、ぼくにはできない。それに…ぼくのおうちこわされちゃったから、かえるとこなくなっちゃった」
「悟」「五条くん」
「ぼく…またひとりぼっちなのかな…」
水を使いこなすなまちゃんが、自身の目に大粒の涙を溜めてうるうると滲ませた。
明るかったフロアも重く暗くなっていく。
泥混じりの濁った水が足元からドバドバ湧き出た。
「わ、悪かったって!な、なま!俺の呪霊になれよ。贅沢させてやるから」
「いや!きもちわるい!」
「くっそ、寧々に懐くだけあって、似たような反応しやがって」
なまちゃんの中では、一応五条くんは自分の住処を壊した人って認識は変わっていないのね。
「こんなやつ置いて帰ってもよくねぇ?」
「やだー!もっとあそぶの!!」
なまちゃんは余程楽しかったのか、もっとを求めて暴れ出した。
「うわ…っ!?」
なまちゃんが暴れるほど、泥水は嵩を増していく。
「……!!」
地響きのような揺れも加わり、手に負える状態じゃない。
そんな時…五条くんが私の手を繋ぐよりも早く……口火を切ったのは夏油くんだった。