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真珠の涙

第1章 出会い


その日を境に気持ち悪い何かが見えるようになった。
両親に相談すると、それは呪霊というらしい。両親や祖父母にも見えていたということに衝撃を受けた。

大好きなおじいちゃんの死に直面して見えるようになったのではないかということだった。

その話をした時に、家宝の話をされた。
珊瑚の髪飾りと真珠の首飾り、そし三叉の矛。武神家に伝わる大事なものだけど、決して他人には見せてはいけないということだった。

まだ10歳だった私はよくわかっていなかったけど、いつも優しい家族がものすごく真剣で強い口調で話す様子にただならぬ気配を感じて、誰にも話さないと誓った。


私の眼は生まれつき青い。深い海のような濃い青。
家族も生まれた時には驚いたと言っていた。けど、おじいちゃんも少しだけ青みがかっている目だったから、隔世遺伝だと思う。
近所の子どもたちは気味の悪いものを見るような目で見るんだ。

唯一幼馴染と呼べる男の子がいた。
お父さん同士がおともだちで、よく家に遊びに来ていた。その子だけは、私の眼を綺麗だと言ってくれた。


中学になっても今と状況は変わらなかった。

家は海のすぐ近くにあって、割と大きい洋館で育った。
他のお家は遠かったので、帰りはいつも1人だった。

そんなある日、
いつものように学校の帰りに歩いていると、気持ちの悪い笑い声をした呪霊が私の前に立ち塞がった。


思わず息を飲む。
『…!!』


それに気がついたヤツはまた気持ち悪い笑い声をあげながら、
こっちに向かってきた。


いつも見えてないフリをしてたから大丈夫だったんだ!


必死で走った。


田舎で育ったから走るのは得意だけど、ローファーでは走りにくいのと、恐怖でうまく走れなかった。
しまいには転んでしまい、

あぁ…これで私も死ぬんだ。
追いかけていたのは死神だ。

なんて思いながら振り向くと、
学ランのような制服を着たヤンキーっぽい男の子がやっつけてくれていた。

一瞬にしてお化けが消えて

「君、怪我はない?」

と言いながら手を差し出してくれた。
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