第1章 眠り姫
その日の夕餉後には、主と日光が収穫した葡萄が並べられた。
「わ〜、葡萄だ〜!」
「艶々だね〜!」
「おいしそうです!」
短刀達の反応が良くて安心した。
皆が夢中で葡萄を食べてくれていて、頑張った甲斐があったなとつくづく思う。
「燭台切さん、葡萄ってお菓子に出来ないのか?」
「今度、小豆君と考えてみるよ」
包丁藤四郎の意見に、葡萄を他に調理する方法がないか考える運びになる。
短刀達が葡萄を食べているのを他所に自分が使った食器類を流し台に戻すと、縁側に座って月を眺めた。
「………綺麗な月…」