第48章 脆弱
職員玄関の方へ向かおうとしたけど
職員室の扉から出てきた男性に行手を阻まれ
仕方なく逆方向に向かって走った。
…でもその先は階段しかなく、私は2階に登るしか
2人の男性から逃れる方法はなかった。
「チッ!逃げてんじゃねーよ!!」
「おい!追いかけるよりも早くここから離れた方が…」
「馬鹿野郎!俺達の顔見られたんだぞ!?
始末してからズラかるしかねーだろうが!」
…確かに顔は見ちゃった。
男性達もその事を分かっていたから
私を口封じする気満々のようで必死で追いかけてくる。
『はぁっ…はぁ…どうしよう…誰か…』
こんな夜の学校に誰かいるわけがない。
助けを自分で呼ぶしか助かる方法がないのは頭では分かってるのに、男性2人から追い掛けられる恐怖で
かなり混乱していた。
とにかく、早く警察に知らせなきゃ…!
2階の廊下を少し走ったところで
音を立てないように近くの教室に入り、震える手で鞄からスマホを取り出すと…
ヴーッ、ヴーッ…
『っ…!』
ちょうどそのタイミングで電話の着信画面に変わり
そこには赤井さんの名前が表示されていた。
私はすぐに通話ボタンをタップし、スマホを耳に当てた。
『赤井さん…っ、助けて!』
「っ、美緒…?どうしたんだ?」
『が、学校でやり残した仕事があったの思い出して…
そしたら職員室に…学校荒らしの人達が…』
「!!まさか…追われてるのか!?」
『犯人の顔、を見ちゃっ、て…
どうしよう、赤井さん……私…っ…』
このままじゃ犯人達に見つかって殺される…
そう思うと体が震えて、上手く声が出せなかった。
そしてもう二度と…
赤井さんに会えないかもしれないと思うと泣きそうになった。
「大丈夫だ、美緒。
…お前は絶対に死なせたりしない。」
『っ、…』
「必ず助ける。だから俺を信じて待っててくれ…」
その言葉と同時に
電話口から車のエンジンをかける音が聞こえた。
私はあなたを傷付けたのに……
本当に…助けに来てくれるんですか…?
『赤井、さん……
すごく、怖いけど……待って、ます…』
小さい声でそう伝えると
赤井さんの落ち着いた声が再び聞こえてきた。