第48章 脆弱
『あった!よかった〜!』
小林先生からのメールで仕事を思い出した私は
現在帝丹小学校の職員室に来ている。
そして渡されていたUSBは机の上に置いたままで…
このまま家に帰ろうかと思ったけど
私はそのまま職員室で頼まれていた事を確認しようと思い、ノートパソコンを立ち上げた。
…作業自体は数十分で終わるから
そんなに時間をかける事なくやれるからね。
『…うん、特に問題なかったな。』
誰もいない職員室で確認作業を終え
鞄を持って立ち上がり職員室の電気を消して廊下に出ると、当たり前だけど真っ暗…。
夜の学校はいつものことながら不気味…
早く帰ろうと足早に職員玄関に向かった時だった…。
パリンッ
『…?』
校内のどこかの窓ガラスが割れる音が聞こえて
不思議に思い、足を止めた。
『……今の音…なんだろう…。』
まだ誰かいるのかな…?
警備員の人に知らせた方が…
…いや、だめだな。
きっとあの警備員さんはもうこの時間、
お酒を飲んで酔っ払って寝てるはず。いつもそうだから。
不審な音を放っておくわけにもいかず
再び元来た廊下を戻って職員室へと向かうと…
『嘘…なにこれ…』
職員室前に辿り着くと、近くの窓ガラスが割られていて…
職員室の中には懐中電灯で辺りを照らし
何かを漁っているような物音が聞こえた。
『ど、どうしよう…』
警察に知らせた方がいいのかな…
でも…私の勘違いかもしれないし…
とりあえず何をしてるのかだけこっそり確認しようと思い
職員室の扉をゆっくり開けると、2人の男性の声が聞こえてきた。
「おい、金庫ってどこにあんだよ。」
「校長室じゃねーか?たぶんそっちの扉の奥に…
お、あったぞ。」
会話の内容からして
2人の男性は恐らく…学校荒らし。
最近この辺りで被害が頻繁に起きていると
職員朝礼で報告があったから…。
『警察に…連絡しなきゃ…』
そう思って後ずさると
飛び散ったガラスの破片が足元にあることに気付かず踏んでしまい
パキッと音を立ててしまった。
『っ、あ…』
「!?」
「誰だ!?」
扉を閉めようとしといた私は懐中電灯で照らされ
その男達から逃げる為に走り出した。