第48章 脆弱
「それで、犯人は何人だ?」
『男の2人組でした…』
「お前は今どこにいる?」
『2階の…教育相談室に…。
職員玄関に向かおうとしたら道を塞がれて…
階段を登って逃げるしかなくて…』
気持ちを落ち着かせながら説明していると
同じ2階にある別の教室の扉を開けて
男性2人が私を探している声が聞こえてきた。
「おい!逃げても無駄だぞ!?」
「さっさと出て来い!!!」
怒鳴り声を聞くと震える私の体……
恐怖を拭うようにギュッと腕を握った。
でもこのままこの教室にいたら
赤井さんが来る前に見つかっちゃう…
電話でそう伝えようとしたところで
最悪な事に私が隠れている教室の扉が開いた。
『っ…!!』
「っ、おい!いたぞ!!」
「逃げんなコラァ!!」
開けられた扉から少し離れたもう一つの扉の方に向かい
私は急いでそこから廊下に出てまた走り出した。
『はぁっ…はぁ…っ…』
赤井さんが来てくれるまで
絶対捕まるわけにはいかない…!
震える足を無理矢理動かして
私はまた階段を登って3階にやってきた。
そして今度は音楽室に入り
奥にある準備室に向かい、中に入って内側から鍵をかけた。
「くそっ!おい!早く出て来い!!」
「めんどくせーことしやがって…!
俺職員室行って鍵取って来るから
お前はここで逃げられないように見張ってろ!!」
『っ…』
どうしよう…鍵を使って入ってこられたら
もう逃げ場がない…。
『…赤井さん……』
とりあえず少しでも時間を稼げるように
鍵でドアを開けられてもすぐに入らないよう、机や椅子を積み上げてバリケードを張った。
そして場所を移動したことを赤井さんに報告しようとしたけど…上着のポケットにしまったはずのスマホがない事に気づいた。
『っ、うそ…!なんで!?』
まさか逃げる途中に落としてきちゃった…!?
逃げる事に必死で
スマホが無くなったことに全然気付かなかった私は
犯人達に殺される前に赤井さんが助けに来てくれることを
祈ることしかできなくなってしまった。