第48章 脆弱
「っ、なんで……あんな一般人の女のために
ジョディさんが諦めるんですか?」
「あなたは美緒の事、何も知らないでしょ?
私とシュウはあの子の良さを知ってる…
"あんな"なんて二度と言わないで…!!」
ジョディに強く言われたアーロンは
分かりやすく顔を歪めており、きっと彼は
ジョディに惚れているのだとすぐに分かった。
「……ジョディさん、友達思いなんですね?
でも俺は赤井さんの彼女の良さなんて知らないし
別に知りたいとも思いません。」
「お前の気持ちなど聞いていない。
美緒に話したのはそれだけじゃないだろう?
…早く話せ。」
「ふっ…。えぇ、言ってやりましたよ…
"アンタらが幸せになってる裏側で
傷ついている人がいるって事を自覚しろ"ってね。」
「!!アーロン…貴様…」
「あなた…美緒にそんな事を言ったの!?」
そうか…
だから美緒は工藤邸に帰ってきた時
悲しそうに1人で泣いていたんだな…
人の良い性格のあいつのことだ、
自分がジョディを傷付けていることに気付かなくて
自分を責めていたんだろう。
そして昨日の日曜日…
そんな事を聞かされたばかりで
俺とジョディがホテルに2人で入る所を目撃したんだ…
誰だって自分は捨てられたと思うだろう。
「あの馬鹿女…」
なぜ俺とジョディの過去を他の奴から聞かされたのに
黙っていた俺を責めない…
なぜ1人で抱え込もうとするんだ…
ホテルに入ったところを見たなら
今日会った時に怒ってくれれば…
…いや、違う。
美緒は言わなかったんじゃなく言えなかったんだ。
あいつが怒る前に、一晩中男の家にいたと知った俺が怒りを表して怯えさせたから…
俺が美緒を追い詰めたんだ…