第48章 脆弱
side 赤井
安室くんが美緒と一晩中一緒にいたことを知り
呆然としていると美緒は俺に頭を下げて謝罪し
引き止める間もなく走り去って行った。
俺と安室くんは2人で取り残され、嫌な空気が俺達を包んでいた。
…そして先に言葉を発したのは安室くんだった。
「…言っておきますけど
僕と美緒さんは何も関係を持ってませんからね。」
「…それを信じろと言うんですか?」
目の前にいるこの男を殺してやりたい。
…本気でそう思った。
安室くんが美緒に惚れてるのは知っているし
男が好きな女を家に連れ込んで、何もないと言われて信じられるほど今の俺は冷静ではなかった。
「昨日、偶然彼女に会ったんですよ。
雨の中…傘も差さずにずぶ濡れで、急に目の前で倒れたから
僕の家で介抱していただけです。」
「…。」
安室くんの表情からして
嘘をついているようには見えなかったが…
そうならそうとなぜ俺に連絡しなかったんだ?
「美緒さんに…何かあったんですか?」
「それをあなたに教える義理は僕にはないですが…
美緒さんに聞かれましたよ?
……男女が2人でホテルに入る目的は何か、とね。」
「っ、!!」
まさかあいつ…
俺がジョディとホテルに入ったところを見ていたのか!?
…最悪だ。
そんなシーンを見たら
美緒はきっと傷ついたに違いない。
なのに俺は…先程あいつに何をした?
一晩連絡を取れなかったことを責めて…
傷口を抉るような真似をした…
とてつもない後悔が押し寄せてきて
悔やんでも悔やみきれない気持ちが湧き上がり動揺していたその時、
上着にしまっていたスマホが振動し
確認するとジョディからの電話からの電話だった。