第47章 恋愛
シャワーを終え洗面所に置かれていたドライヤーも借りてから元の場所に戻ると
風見さんはすでにいなくなっていて
安室さんはコンビニのおにぎりを食べているところだった。
「風見が買ってきてくれた朝食です。
美緒さんもどうぞ?」
『いえ…!私は…』
ぐぅー…
『…。』「…。」
散々迷惑をかけてお風呂まで借りて…
その上朝食までもらうのは気が引けて
遠慮しようとしていたら、私の腹の虫が盛大に音を鳴らしていた。
「ふっ……はははっ!」
『〜〜っ、わ、笑わないで下さい!』
…だって仕方ないじゃん!
昨日お昼ご飯を食べてから何も食べてないんだもん!
お腹減ってて当然だよ!!
「本当にあなたは面白い人だ。
風見は美緒さんの分も用意してくれていますから
遠慮せずに食べて下さい。ははっ」
『…。いただきます…』
安室さんはすでに食べ終わったようで
笑いながら私をテーブル席に座らせてくれた。
もぐもぐとおにぎりを頬張っていると
安室さんが私のカバンを近くに持ってきてくれた。
「僕のこの家は、風見しか知りません。
他の誰かに知られるわけにはいかないので
昨日、美緒さんのスマホは電源を落としておきました。
GPSで探られたら面倒ですからね…
でももうすぐ家を出るので電源いれてもいいですよ。」
安室さんにそう言われてスマホを取り出すと画面は真っ暗。
電源を入れながら私は安室さんに質問をした。
『どうして…知られるわけにはいかないんですか?』
「僕の身にいつ何が起こるかわかりませんからね。
公安の人間だと知られれば、命を狙われる可能性もあるんです。」
…だからこの部屋はすごく殺風景なのか。
衣装タンスやテレビはなく
必要最低限の家具と家電…
あとは安室さんの趣味なのかギターしか置かれていない。
いつでも逃げ出せるようにしてるってことなのかな…?
頭の中で納得しているとスマホの電源が立ち上がり
画面には不在着信のお知らせと何通かメールが届いていた。
昨日会った紗栄子からのメールもあったけど
それ以外はほぼ全部赤井さんからの連絡で…
メールには私のことを心配している言葉が
たくさん綴られていた。