第47章 恋愛
着信に残っている赤井さんの名前を見るだけで
どうしようもないくらいあの人への愛しさが込み上がる。
もう嫌われたかもしれないのに
そんな事を思ってしまう自分が本当に嫌になる…
安室さんは
ジッとスマホの画面を眺めている私を見つめていて
なんだか私の考えていることが全て見透かされているように感じた。
「美緒さん、
あなた達に何があったのか僕には分かりません。
でも辛いことがあったのは察しています。」
『…。』
「恋愛は…ずっと上手くいくわけではないですし
時には逃げるのもありだと思います。
ですが…あなたが1番後悔しない選択をして下さい。」
後悔しない選択…
そういえば昨日も同じことを紗栄子言われたっけ…
本当はちゃんと分かってる。
逃げずに赤井さんとジョディさんと向き合わなきゃいけないってこと…
でも私は弱い人間だから…
今はまだ2人がホテルに入る姿が目に焼き付いてて、思い出すだけで胸が苦しいの…
冷静に話せる自信なんてない。
でも2人の事が大事で大切な気持ちは変わらない…
だからもう少し…時間を下さい。
『安室さん…本当にありがとうございます。
おかげでだいぶ心が楽になりました。』
「そうですか。…じゃあ学校まで送りますね。」
まだ少し早い時間だけど、シャワーを浴びてノーメイクのままだから学校のロッカーに置いてある化粧品使ってメイクしないと…
しばらく安室さんの車に乗っていると学校の近くに到着し
朝早い時間だからまだ誰も来ていないと思うけど
念の為、誰にも見られないように学校の近くに路駐してもらった。
「お仕事頑張って下さいね。」
『はい、安室さんも。』
安室さんの車を降り
彼は私に会釈をすると車を発進させて去って行った。
そして私はいつも通り生徒達と接し
忙しく仕事をしているとあっという間に日が暮れていた。
帰る時にスマホを確認したけど、赤井さんからの連絡はなかった。
充電が切れていたことに気付かなかったというメールを朝送っておいたけど、一晩中音信不通だったから怒ってるのかも。
……赤井さんに会いたいのに会うのが怖い。
私はスマホの画面を消して
カバンの中にしまい立ち上がって職員室から出た。