第47章 恋愛
『会ったことはあるんですが…その…』
「自分の名前、お忘れですか?」
『っ、いえ!覚えてます!えーっと…』
忘れてるなんて失礼な事を正直に言えなくて
頭の中で必死に思い出していた。
そして…
『!!風見鶏さん!』
「……鶏はいりません、風見です。」
『!?ご、ごめんなさい!私人の名前覚えるの苦手で…!』
風見さんはかなりムスッとしてしまい
何度も謝っていると、安室さんがプッと吹き出した。
「あはははっ!
そんな風に彼の名前を間違える人は初めてですよ?
風見鶏って…、はははっ!」
…安室さんはお腹を抱えて大笑いしていて
私はもう恥ずかしさしか感じなかった…。
『〜〜〜っ、もう!安室さん!笑い過ぎです!』
「そうですよ降谷さん!
そこまで笑わなくてもいいじゃないですか!」
風見さんは顔を赤くして怒っているようだったけど…
降谷さん、って言ったよね…?
『本名は…降谷さんって言うんですか?』
「…おい、風見。」
「す、すみません!知ってらっしゃるかと思いまして…」
やっぱり安室さんって名前は偽名だったんだ…
でも本名を聞いても、なんだか違和感しかないなぁ…
「…美緒さん、僕の本名は降谷 零といいます。
誰にも言わないことを約束できますか?」
『もう安室さんで定着してるから
今更"降谷さん"なんて呼べませんよ…。それに…』
「きっと覚えられない、ですか?」
…やっぱり安室さんってすごく意地悪!!
昨日の優しさどこに行った!?
「それより美緒さん、
お仕事の前にシャワー使って来て下さい。
着替えも戻って来た事ですし。」
風見さんに着替えの入った紙袋を渡されたから
私はお言葉に甘えてシャワーを借りる事にした。
……袋の中には
コンビニで買ったであろう下着も入っていて
こんなものまで男性である風見さんに用意してもらい
なんだかとても恥ずかしくなった。