第15章 ダブリスの獣たち
「査定に来ておったそうだが」
「うん。有効期間が過ぎているから手続きに時間がかかるってさ」
子どもが司令部をうろついていて、その子どもは国家錬金術師で査定に来ていると話が広まったらしく、少佐の耳にも入ったのだとか。
「査定か。どれ、書類を貸したまえ」
大総統に書類を渡すと、大総統は書類に目を通すことなく印を押した。
「これにて査定終了!」
「よかったな、エドワード・エルリック!」
手続きが大変だってさっき聞いたばかりなのに。
なんつーいいかげんな……。
たった数分で終わる査定なんて聞いた事が無い。
「君の各地での活躍を見るかぎり、問題は無い。これからも期待しているよ、鋼の錬金術師。南部でもまた一騒動お越しに来てたのかね?」
「いえ。錬金術の師匠がダブリスにいるんで、会いに来たんです」
「ほぉ。君の師匠となると、かなりの者ではないのかね」
「そりゃもう(色々と)すごいですよ」
「国家錬金術師に勧誘しに行ってみようか」
「いやー、やめた方がいいですよ。行くなら一個師団全滅するくらいの覚悟じゃないとね」
ぼそっと言ったオレの言葉が、大総統や少佐には聞こえなかったのか、それとも言っている意味が分からなかったのかは定かではないが、二人とも不思議そうな顔をしていたのだけはわかった。