第15章 ダブリスの獣たち
「俺はこいつらにホムンクルスの製造方法を教える。こいつの兄貴は俺に魂の錬成方法を教える……。どうだ!!」
「取り引きか……!」
「等価交換だろ?穏便にやろうや」
イズミさんからすれば、誘拐した人たちの言う事を訊くことは耐えがたいだろう。
しかし、アルフォンスくんからすればようやく手に入れたチャンスだ。
どちらの天秤が重いかなんて私にはわからない。
だって私はどちらの気持ちも分かるから。
それでも、イズミさんはアルフォンスくんの気持ちを汲むんだ。
兄弟たちのことをずっと見守ってきた彼女だから、できる決断。
「あんた、グリードって言ったっけ?私ら錬金術師ってのは、作り出す側の人間だから、こういうのは好まないんだけど。私の身内の者にもしもの事があったら、その時は容赦無くぶっ壊す」
今にもぶっ壊しそうな瞳でグリードを睨みつけるイズミさんは「帰る」と宣言し、その場を去った。
「すげーなぁ。おまえの師匠とやら」
「……どうも」
慰めなのかなんなのかよくわからないが、グリードはアルフォンスくんの背中を優しく叩いた。
「で、あんたは帰らなくていいのか?」
「はい。護衛ですので」
彼の身の安全が確認できない限り、ここから離れられるわけがないでしょう。